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インボイス制度

インボイス制度~開始に向けた直前留意事項

いよいよインボイス制度開始まで、1か月となってきました。準備はいかがでしょうか。今回のブログでは、インボイス制度開始直前にあたり、ご留意いただきたい事項を取り上げました。

① 登録申請期限
10月1日(日)から適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、9月30日(土)までに申請書を提出する必要があります。9月30日は土曜日ですが、10月2日(月)まで期限は延びませんのでご留意ください。

② インボイスの交付対象時期
10月1日(日)以降の取引が対象になります。
具体的には、モノの販売であれば、出荷日や取引先の検収日など、モノの引渡日として合理的な日が、10月1日以降であれば対象となります。サービスの提供であれば、役務の提供が完了した日で判断します。従って9月中の取引について10月に請求を行う場合にはインボイス対応の必要はありません。

③ 10月1日に登録通知が未達の場合の対応
(売り手の場合)
すでに登録申請を出しているものの、10月1日を迎えても登録通知書が届かない場合には以下のいずれかの対応が必要となります。
・事前にインボイス交付が遅れる旨を先方に伝え、通知後にインボイスを交付する。
・通知を受けるまでは登録番号のない請求書等を交付し、通知後に改めてインボイスを交付し直す。
・通知後にすでに交付した請求書等との関連性を明らかにした上で、インボイスに不足する登録番号を書類やメール等でお知らせする。
(買い手の場合)
売り手から登録番号のないインボイスを受領した後、登録番号のお知らせ等が届かないまま申告期限を迎えた場合、事前にインボイス発行事業者の登録を受ける旨が確認できた時は、仕入税額控除をすることができます。
但し、事後的に交付されたインボイスや登録番号のお知らせを保存することが必要です。なお、基準期間(前々年・前々事業年度)における課税売上高が1億円以下である事業者においては、1万円未満の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくても帳簿のみで仕入税額が可能ですので(「少額特例」といい、令和5年10月1日~令和11年9月30日まで)、上記の対応は不要です。

④ 受領したインボイスの適正性の確認
インボイスの適正性(番号が有効かどうか)については、事業者において確認する必要がありますが、取引の都度確認が必要となるものではなく、取引先の規模や関係性、取引の継続性などを踏まえて、事業者においてその頻度を判断することになります。インボイス事業者としての登録を受けた場合、自ら届け出等しない限り有効であり、取り消しも課税期間(原則1年)単位でしかできないので、これらを踏まえて検討します。
なお、少額特例の適用を受ける方や、簡易課税制度や2割特例(インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者になった方について、納税額を売上税額の2割とする特例です)を選択する方については、仕入税額控除にインボイスの保存は不要ですので、上記対応は不要です。

⑤ その他(④と同様、仕入税額控除にインボイス保存が不要となる方は、対応不要です。)
5-1 家賃など口座振替でインボイスが受け取れない場合の対応
事務所の家賃や、リース料、顧問料などの契約を締結した後、口座振替により支払いが行われ、請求書や領収書の交付を受けない取引があります。このような取引であっても、仕入税額控除を受けるにはインボイスの保存が必要です。このような場合には、家賃であれば、貸主に一定期間の家賃について、まとめてインボイスの交付を受けられるよう依頼するか、契約書と通帳により、インボイスに必要な記載事項(注)が網羅されているか確認の上、これら複数の書類の保存で対応することができます。
なお、令和5年9月30日以前の契約については、登録番号等、インボイスに必要な記載が不足していた事項の通知を受け、契約書と共に保存していれば差し支えありません。
(注)インボイスに必要な記載事項
1.発行事業者の氏名又は名称
2.登録番号
3. 取引年月日
4. 取引内容
5.税率事に区分した対価の額及び適用税率
6.税率毎に区分した消費税額等
7.書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

5-2 役員・従業員の立替経費のインボイスの入手について
役員・従業員が経費の立替を行う場合、少額であっても会社宛てのインボイスを入手するのが原則です。例えば従業員名でもらった場合には、上記(注)インボイスに必要な記載事項7の要件を満たしませんので、この場合には従業員に立替経費精算書等を作成してもらい、入手したインボイスを併せて保存します。
なお、飲食店、小売店、タクシー等不特定多数の客を相手にする業種については、宛先を省略した簡易インボイスの交付が認められていますので、宛先がなくても問題はありません。さらに、3万円未満の公共交通機関(飛行機は含まれません)の運賃、3万円未満の自動販売機からの商品の購入、出張旅費規程等に基づく出張経費、宿泊費、日当等については、今までどおり帳簿に記載するだけで仕入税額控除が可能です。

5-3 クレジットカード明細の利用について
クレジットカードの利用明細は、モノやサービスの提供を行った事業者が発行したものではないため、現行においては、請求書としては認められておりません。しかし、3万円未満の取引については、帳簿保存のみで仕入税額控除が認められていることもあり、消耗品の購入やETCなどの高速道路料金、新聞講読料等の少額の取引について、カード明細を経理処理の資料として使っているケースがあります。
ただ、インボイス制度が始まると30,000円未満の領収書等の免除特例は廃止されます。また、カード利用明細は、インボイスではありません。従って、インボイス制度導入後は、カード払いしている取引について、インボイスを保存することが必要となります。(帳簿のみで仕入税額控除できる経費(5-2参照)は除きます。)なお、ETC取引やWEBで完結する取引については、WEB上で領収書に代わるものが発行されますので、それを保存しておきます。例えば、ETCであればWEB上の「ETC利用紹介サービス」から「利用証明書」がダウンロードでき、インボイスとして利用できます。